2011年05月25日

95.一期一会

ブルネイにはマレーシア連邦直轄領のラブアン島からフェリーで入った。
ブルネイのフェリーターミナルに着いたのは18時少し前。
曇り空だったが、桟橋からは海の向こうからそびえる虹が見えた。


入国手続きを終えて外に出ると、いくつかのチケット売り場のブースと並んで両替所がある。

しかし、両替所には "CLOSE" の札が立てかけてある。

「しまったな。ラブアンで両替しておくんだった。」
ちょっと後悔したが、まだどうにかなると思っていた。
この国では、マレーシアリンギットやUSドルが通用するかもしれないし、タクシーで街の両替所に横づけしてもらってもいい。

他の乗客は、駐車場に止めてある車や、迎えの車で次々とターミナルを出ていく。
しかし"TAXI"と書かれた駐車スペースには1台のタクシーもいない。
仕方なく僕はバスに乗ることにした。

バス乗り場でバスを待っていると、おばちゃんに話しかけられた。
「どこに行くの?」
「バンダル・スリ・ブガワン(ブルネイの首都)に行こうと思ってる。」
「今日のバスは多分終わってるよ。」

ガイドブックには、フェリーはバンダル・スリ・ブガワンの郊外のターミナルに着くと書いてある。
ガイドブック上の街の地図には載ってない。

多分せいぜい4〜5キロ程度の距離だろうと踏んだ。今歩きだせば、うまくいけば真っ暗になる前に街に着く。
「バンダル・スリ・ブガワン方面」と書かれた標識を頼りに僕は歩きだした。
雨がポツリポツリと降り出していた。

暫く歩き、通りに出るとターミナルとは別方向からバスが走ってくるのが見えた。
運がいい。歩き始めたのは正解だったと思った。
バス停ではなかったが、手を振って無理やり止めた。

バスが動き出すと車掌がきた。
ダウンタウンに行きたい旨と、マレーシアリンギットしか持っていない旨を告げた。
少し困った顔をされたが、マレーシアの通貨で支払いを受け付けてくれた。

ほっとした。
窓の外では雨が強くなり始めていた。

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しかし、安堵感もつかの間だった。
1キロも進まない内に、車掌がここで降りろという。
目の前のT字路をバスはダウンタウンとは反対の方向に行くらしい。

「右に真っすぐ行って、あそこを左に曲がれ」車掌に言われた。

礼を言い、車掌に言われた通りに進んだ。
大通りにぶつかり、左に曲がると直ぐにバス停があった。

「ここで待てということだったのか?」

暫く、その屋根付きのバス停でまった。
雨はますます強くなり、辺りも薄暗さが増してきた。

バスも流しのタクシーも来ない。

来る確証のないバスを待つべきか、地図もなく距離も分からない道を雨の中(しかも無銭で)歩くべきか。

「南国の雨は、多分直ぐ止む。歩いていくなら完全に日の暮れる前にスタートした方がいい。」
そう思い、十メートルほど歩く。
そして、「やっぱり…」と思いなおしてバス停に戻る。

普段の僕なら躊躇なく歩く。5キロだろうが、6キロだろうが歩く自信はある。
しかし、だんだん強くなる雨のせいか、刻一刻と暗くなる夕暮れのせいか一抹の「嫌な予感」を感じて前に進めずにいた。
本当に悩んだ。

やがて、向こうからくる車が、その姿ではなくライトの2つの光として見えるようになる。
雨脚はまるで夕立のよう。
運が悪い。

心細い。



突然、一台の乗用車が目の前に止まった。
運転席から制服を着た男性が、「乗れ」とジェスチャーする。

なにが起きたか全く理解できなかったが、取り敢えず現状を打破したかった。
言われるままに乗った。

「仕事が終わったから送ってやる」という。

「警察官?」と聞いてみた。
「いや、警備員だ」という。

どうやら、フェリーターミナルにいた警備員の1人らしい。
僕の姿を覚えていてくれたのかもしれない。

車は走り出した。

安堵7割、不安3割。
最悪の事態も想像する。日本の感覚で言えば、なんで仕事が終わった警備員が制服着たまま家に帰るはずがない。
制服は安心させる罠で、どっか森に連れて行かれ、後ろから頭をドスンって可能性もゼロではないと考えたりもした。

彼とぽつり、ぽつりと会話をしながらも(僕は英語も会話も得意ではない)
ちゃんとバンダル・スリ・ブガワンに向かっているか窓の外の標識をずっと意識していた。

高速道路のようにきれいに整備された道をかなりのスピードで走っていく。
流れていく車窓からの景色の中にひとつの標識が確認できた。

"バンダル・スリ・ブガワン 27KM"


結局、彼はちゃんと僕を送り届けてくれた。
僕が泊まるといったユースホステルの位置を教えてくれた上で、わざわざ雨を避け屋根のある所まで行き降ろしてくれた。
降り際に、「マレーシアリンギットかUSドルしかないが…」といってお金を渡そうとしたが、受け取ってもらえなかった。

直ぐに止むと思った雨は、スコールの様な雨脚のままその日の深夜まで降り続いた。

P1010307_R.JPG

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